内製かSaaSか。生成AIアプリ「MIZ-GPT」開発でエスタイルが選ばれた決め手とは?

目次

本プロジェクトの目的

安全かつ汎用的なデジタル基盤を実現した生成AIアプリ「MIZ-GPT」をミツカン内部で機能開発するため、エスタイルが開発チームへ技術提供を行い社内のプロジェクトを推進すること

<概要>

  • 事業貢献を目指し、社内生成AIアプリ「MIZ-GPT」の開発・展開やデータ基盤の整備を実施
  • Azure上での安全な運用を特徴とし、加えて、社内での利用率向上と活用促進のためのコミュニティも形成
  • 開発手法としては、エスタイルのAI / データ顧問サービスを活用し、AI開発の壁打ちやデモの作成など柔軟にプロジェクトを進めた

<課題>

  • プロジェクト立ち上げ当初は、生成AIの社内活用が進まず、専門性やリソース不足、外部ツールの柔軟性欠如
  • 日々変化の激しいAI進化のスピードに追いつけず、試行錯誤を繰り返す中で知識・技術が社内に蓄積されないことへの懸念

<選定理由>

  • 内製支援の柔軟性、安全性が他社に比べて優れていたため
  • 既存のSaaSに比べスピード感や技術的適合性、セキュリティ面でも信頼できるため

<効果>

  • プロジェクト開始後、生成AIアプリの開発とアップデートがスムーズに進行
  • 社内コミュニティの発足や迅速なフィードバック反映が可能となり、アクティブユーザー率の向上やプロンプトエンジニアリング知識の浸透など成果を上げた
  • 加えて、技術チームの体制強化やスピーディーな開発サイクルにより、業務効率化社員の成功体験醸成に寄与している

事業貢献のできる生成AI活用を目指す

ミツカングループは「おいしさ」と「健康」を限りなく一致させることを目指し、日本だけでなくアジアや北米、欧州などグローバルに調味料を展開するメーカー企業だ。2023年度のミツカングループ合計売上高は、前年から11.2%増の3,001億円となり、グループ売上高としては2022年度から2年連続の増収で、過去最高となっている。

2019年、グローバル視点でデジタル推進を行うデジタル戦略本部が設立。その後、2023年に日本事業の強化を目的にDX推進を通じて「事業貢献」を目指し、国内に特化したデジタル推進部が立ち上がった。デジタル推進部のミッションの一つに「社内の生成AIアプリの開発・展開を通じて、社員の業務効率向上を実現すること」があり、2023年に社内で開発された生成AIアプリ「MIZ-GPT」では、安全かつ汎用的なデジタル基盤を実現し、現在多くの社員に活用されている。

さらに、生成AIに関する社内コミュニティを発足。活用事例の共有や社員間の意見交換を促進し、自発的な生成AI活用の文化を育てている。「MIZ-GPT」はブランドデザインを考慮しつつ、社員が使いやすい生成AIとして設計。導入後、社員の多様な業務ニーズに対応するために継続的なアップデートを実施しており、今後もさらなる機能開発が期待されている。

スピード感と内製化の両軸でプロジェクトを実現

「生成AIがトレンドとして注目され始めた際、社内でも活用を試みる動きがありました。しかし、専門性の高い人材が不足しており、社内での活用が思うように進まない状況に…。外部の生成AIツールを試しても、高額だったり、カスタマイズができないなど柔軟性に欠け、実現が難しいという課題が浮き彫りになってしまったんです。」とデジタル推進本部 デジタル推進部 マネージャー安野氏は語る。

「生成AIは進化がとにかく早くて、社内の体制ではそのスピードに追いつけなかったんです。内製でアプリを開発した経験もほとんどなかったので、どのようにスピード感を持ちながら効果的に進めていくか、手探りの状態でしたね。」とエンジニアの峯氏。

そこで、2023年11月、AI人工知能EXPOの会場でエスタイルの代表である宮原氏と出会ったことが、このプロジェクトの転機となった。エスタイルの伊藤忠商事様の事例をはじめとする豊富な事例や、内製支援への強いコミットメントや、安全性と独自性を重視したアプローチに強く共感。単なる既存サービスの提供ではなく、クライアントのニーズに寄り添った柔軟な提案を重視する姿勢が、他社とは一線を画していた。

最終的な決定の背景には、技術チームの強い支持があった。他社の提案はパッケージ化された内容が多く、ミツカンの特有のニーズに対しては過剰な仕様である一方、柔軟性を欠くケースが目立った。社内にナレッジを蓄積したい、そんな想いを持ちながら必要なときに相談でき、事例を共有してもらえる。エスタイルのAI / データ顧問サービスは、まさにそれを実現できるサービスであった。また、外部委託主体の体制を取る企業に対しては、セキュリティ面の懸念もあった。エスタイルは迅速かつ柔軟な対応が可能であり、ミツカンの独自システムや環境にも適合できる点が評価された。結果として、内製を支援しながら生成AIアプリのアップデートを継続的に行うための最適なパートナーとしてエスタイルが選定された。

「エスタイルはAIに対する知見を持つ、素晴らしいエンジニアが在籍しており、エンジニアの皆さんからたくさんの知見をいただきました。ミツカン独自の社内生成AIアプリを内製で開発する。それが実現できたのは、エスタイルのAI / データ顧問サービスがあったからこそだと思います。」とエンジニアの峯氏は話してくれた。

今後の取り組み

今後はさらに、MIZ-GPTの継続的なアップデートを進めていく。ChatGPTの進化に追随する形で機能を拡充するだけでなく、部署独自の機能を取り入れることで、より高いカスタマイズ性と実用性を追求していきたいという展望だ。具体的には、GPTsのような柔軟性を備えたカスタマイズ可能なプラットフォームを目指し、ミツカン独自の活用方法を模索しながら、特化型の内製機能を強化していく方針だ。

特化型の生成AIアプリの開発には、社内ルールや業務フローに基づいたカスタマイズが不可欠である。たとえば、広告表現の審査機能のように、社内ルールを反映させる実装が求められる。新しい機能やサービスを導入する際には、仕組み化と併せて、常に改善と更新を続けることが重要となる。

「エスタイルへの期待として、今後増加が見込まれる特化型アプリの開発を支援する中で、優先順位を精査するための知見やノウハウなどを共有いただきたいです。他のプロジェクトで得た成功事例や課題を共有し、議論を重ねながら、MIZ-GPTのさらなるアップデートを一緒に進めていきたいですね。」と安野氏は語る。

今後のプロジェクトでは、エスタイルの柔軟な支援とナレッジ共有を通じて、MIZ-GPTの進化とミツカン独自の生成AI活用をさらに推進していく見通しだ。

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