AIエンジニアは文系でもなれる職業です。しかし、多くの人のイメージのとおり、理系が有利であることは間違いありません。
では、文系からAIエンジニアになるには、どのようなキャリアパスを歩めば良いのでしょうか?
この記事では、具体的なキャリアパスと、AIエンジニアを目指す文系の方が事前に知っておくべきポイントをご説明をします。
文系出身のAIエンジニアの今
AIエンジニアは、理系出身だけが活躍している職業ではなく、文系だからといって道が閉ざされているわけではありません。
文系からAIエンジニアを目指すにあたり、まずは、文系出身のAIエンジニアの活躍を確認していきましょう。
AIエンジニア≠理系!文系出身者も活躍
AIエンジニアといえば理系出身であるとのイメージが強いでしょう。数学やプログラミングなどを取り扱いますので、大雑把に理系でなければ対応できないと考えているかもしれません。
しかし、AIエンジニアが必ず理系というわけではありません。文系出身でもAIエンジニアで活躍している人はいます。
もちろんエンジニア職ですので文系よりも理系が多いのは事実です。AIエンジニアの文系と理系の割合は1:9や2:8だと考えてよいでしょう。
ただ、エンジニア全体で考えると3:7や4:6です。文系出身のエンジニア増えていて、その流れでAIエンジニアも少しずつ増えているのです。
文系出身AIエンジニアはアナリスト中心
AIエンジニアの役割は、アナリストとプログラマに分類することができます。
文系出身のAIエンジニアは、AIエンジニアの中でもアナリストの役割を担っていることが多いです。
他にはプログラマが存在していて、大半の人がアナリストとして活躍しています。それぞれの役割を簡単に説明すると以下のとおりです。
- アナリスト:AIが出力した情報を踏まえデータ解析やチューニング、コンフィグ作業を担当
- プログラマ:AIの基本となるプログラミングや設計などの開発作業を担当
文系出身AIエンジニアは、AIを開発するプログラムの仕事はあまり対応していません。こちらは高いスキルが求められ、理系出身でも限られた人が対応できるものです。
アナリストとして働くAIエンジニアの仕事は、他人が開発したAIを利用し、それを活用して必要な答えを導き出すことです。
文系出身でAIエンジニアとなり、バリバリとAIの開発をしている人はほとんど見かけません。
※チューニング:プログラムなどを修正して処理速度の向上を図ること
※コンフィグ:プログラムなどの設定を変更して出力内容を変更したり処理ロジックを変更したりすること
文系からAIエンジニアになるには?実現のためのキャリアパス
文系からAIエンジニアになるには、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか?
様々な方法がありますが、今回は以下の4種類をご紹介します。
- 未経験OKのAIエンジニア求人に転職
- ITエンジニアを経由してAIエンジニアに転身
- AIエンジニア向けの専門学校やスクール
- 理系大学へ再入学する
具体的にどのようなキャリアパスであるのかを詳しくご説明します。
未経験OKのAIエンジニア求人に転職
文系からAIエンジニアを目指すキャリアパスの一つに、「未経験OK」のAIエンジニアの求人に転職するという道があります。
「未経験OK」の求人は、採用後にAIエンジニアとしてのスキルを習得する研修などが用意されているのが、大きなメリットです。
「企業の研修」と「スクールや専門学校」との大きな違いは、教育側もアナタを成長させることに明確なモチベーションがある点でしょう。
というのも、採用した人材がスキルを身につけ、AIエンジニアとして働いてはじめて、企業が利益を得られるからです。
このように、「未経験OK」のAIエンジニア求人には、「AIエンジニアとして最速で成長できる環境」という大きなメリットがあります。
一方で、2点、注意すべきデメリットがあります。
1つ目は「教育環境や業務内容が期待していたものと違う可能性がある」というデメリットです。
このような求人に転職すると、「転職という一大決心をしたのにも関わらず、AIエンジニアとしてのスキル・経験を全く身に着けられなかった!」という事態になりかねません。
ですので、転職活動の際に、「教育制度の具体的な内容」と「転職後の業務内容」はしっかりと確認しましょう。
2つ目は「採用されない」というデメリットです。
先述したとおり、企業は、採用した人材がAIエンジニアとして活躍してはじめてメリットがあります。
そのため、AIエンジニアになる見込みが高い人を選んで採用しなければならないのです。
「現状だと採用される自信がない」という方は、事前に学習するのがおすすめです。
AIエンジニアには「自律学習できる」素養が必須ですので、「勉強してきた」という事実自体も評価されると思いますよ!
ITエンジニアを経由してAIエンジニアに転身
ITエンジニアとして就職し、その後AIエンジニアに転身するキャリアパスもあります。
文系からいきなりAIエンジニアになるのではなく、まずは比較的ハードルの低いITエンジニアを経由するのです。
上記でもご説明したとおり文系からITエンジニアになる人は多数います。その人数は年々増えてきている状況であり、ハードルはどんどん下がってきています。
そのため、文系でもなりやすいITエンジニアとなり、AIエンジニアになるための経験を積むのです。
ITエンジニアとして経験を積めば、文系からでもAIエンジニアに転身できるチャンスがあります。理系出身でも同じキャリアパスでAIエンジニアを目指すことがあるぐらいです。
時間はかかってしまいますが、文系出身でも実践でスキルを高めながらAIエンジニアを目指せる、現実的なキャリアの1つでしょう。
AIエンジニア向けの専門学校やスクール
専門学校やITエンジニアへなるためのスクールを利用してAIエンジニアを目指す方法があります。AIエンジニアに求められるスキルを体系的に身につけられますので、無難なキャリアパスです。利用する専門学校やスクールによって、AIエンジニアになるための期間や費用が異なります。
まず、専門学校は、基本的には2年か3年の通学が必要です。授業料は専門学校によって異なるものの、授業料や設備使用料、教材費などを含めて年間80万円ほどです。
一方で、スクールは、半年から1年程度の通学が必要です。専門学校のように一日中通学するものもあれば、仕事が終わってから通学するものもあります。どのように授業を受けるのかによって、通学する期間は変動すると考えましょう。スクールを利用する場合、必要な費用は専門学校と同等かやや少なく年間60万円から80万円程度です。どのようなプランでAIエンジニアを目指すかによって、期間も費用も異なる点に注意が必要です。
文系からAIエンジニアになるには、専門学校やスクールを利用したキャリアパスが無難です。専門知識を体系的に指導してくれますので、効率よく知識を身に付けられます。また、就職も斡旋してくれるなどのメリットがあります。
大学へ再入学してAIエンジニアとして就職する
大学に理系で再入学しAIエンジニアとして就職する方法もあります。ただ、この方法は時間もお金もかかります。
文系であったとしても理系の大学や学部に再入学して卒業すれば理系として使われます。大学で基礎教養も身につけて理系として就職すれば、AIエンジニアになりやすいことは言うまでもありません。理系出身となることで採用されやすくなるのです。
とはいえ、文系出身の状態から改めて理系の大学へ行くのは並大抵のことではありません。基本的には他の方法でキャリアパスを考えることをおすすめします。
文系からAIエンジニアを目指す際に意識すること
文系からAIエンジニアを目指す際に意識しておきたいことを2つご説明します。
文系からAIエンジニアへの道は険しい
文系からAIエンジニアになる人は、アナリストが中心でありプログラマはほとんど見かけません。
この点はAIエンジニアになりたいのであれば理解しておくべきことです。プログラマへの道は険しいものです。
また、AIエンジニアは数学の素養など理系的な知識が多く求められます。このことに抵抗を感じて、AIエンジニアへの道をあきらめてしまう人います。そのような観点からも険しい道なのです。
言い換えると「文系でありながら数学が得意」「プログラミングの経験がある」「AIの基本的な考え方をかじったことがある」などの条件に当てはまるのであれば、AIエンジニアを目指せるでしょう。
AIエンジニアになるには文系は不利
文系からいきなりAIエンジニアになる場合、理系的なポテンシャルは低いと判断されやすいです。例えば数学的な素養は理系よりも低いと判断されてしまうのです。
他にもAIの基本的なロジックは理系よりも理解が浅いと判断されてしまうことがあります。
一方で、業界全体でAIエンジニアが不足しているのは事実です。そのため、文系出身でもAIエンジニアで活躍している人が増えています。
実際、このメディアを運営するTRaiNZでも、未経験からAIエンジニアになりたい方を、文理問わず募集しています。
人材が不足しているこのチャンスに、AIエンジニアへの一歩を是非踏み出してください!
資格の取得に固執する必要はない
AIエンジニアになるにあたり資格の取得にこだわる必要はありません。文系出身となると資格が必要な気がするかもしれません。しかし、実際にはそのような資格に固執しなくても良いのです。
AIエンジニアに関わる資格として、G検定やE資格と呼ばれるものが知られています。AIを扱う人であれば取得している人も多い資格です。そのため文系出身となるとスキルを示すために資格の取得に固執してしまうこともあるでしょう。
ただ、エンジニアに求められるものは資格よりもスキルです。資格を取得することはあくまでも補助的な要素にしか過ぎません。資格保有者の独占業務などもありませんので、必要以上に資格に固執する必要はないのです。
文系出身でもこれらの資格を持っていれば、何かしらのアピールになることは間違いありません。しかし、資格の取得に時間をかけるのであれば、自分のスキルアップに時間をかけた方が良いでしょう。資格の取得に固執することは避けなければなりません。