スポーツ業界におけるAIの活用事例15選|デメリットはある?

AIとスポーツの関係

自動車の運転や家電、サービス業など、ここ数年間でAIは私たちの生活に深く影響するようになりました。

スポーツ業界でも例に漏れず、AIが活用されるシーンが増えてきています。

この記事では、スポーツ業界におけるAIの活用事例をご紹介します。

また、AIがスポーツに関わる場合のデメリットについても解説するので、AIを導入するか悩んでいる方はぜひご参考ください。

目次

AIはスポーツ業界でも活躍している

スポーツは人間同士が対戦することから、AIが影響することはあまり考えにくいというイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。

しかし、AIは近年スポーツ業界でも活躍の場を広げています。

例えば、アスリートのコンディションをチェックしたり、トレーニングをサポートしたりなど、パフォーマンスを最大限に発揮する取り組みを行っています。

最近では、勝敗に直結する審判などをAIが導入しているケースも出てきました。

このように、AIはスポーツ業界にもどんどん進出していっています。

AIによるスポーツでの活用事例12選

AIは、人間の目では判断しきれない部分をカバーできることから、スポーツ業界は今やAIのサポートがなくてはならないものとなりつつあります。

では、AIによるスポーツでの活用事例を見ていきましょう。

選手のフォームの癖を分析

選手のフォームをAIで分析して、理想的なフォームに直す取り組みです。

例えば、野球の場合、撮影したフォームをAIが分析して、好調時のフォームと不調時のフォームを見比べたり三振した時のフォームを確認して癖の改善に役立てています。

以前は、人間がコーチをするのが当たり前でしたが、少しの癖に気付きにくかったり、その場その場での判断基準が異なるリスクがあります。

AIの導入によって、理想的なフォームを導くことができるため、一定の基準でフォームを改善することができます。

試合の勝敗の予測

最近では、試合の勝敗の予測をAIが行うことが増えました。

具体的には、競馬では馬や選手の強さをAIがデータ分析して数値化したものや、サッカーの勝敗予想などが取り入れられています。

蓄積された過去データを学習させて、戦況や勝敗を予測していきます。その日の天候やコンディションによっても変動し、より精度が高まっています。

選手のメンタルサポート

AIは従来であれば、人間の気持ちが分からないと言われていましたが、最近ではメンタルサポートとして導入するケースも増えています。

AIが搭載された機器を身に付けて、心拍数や移動速度、睡眠時間や生活習慣の記録などのデータを計測して分析します。

分析結果をもとにトレーニングメニューを決めたり、環境の見直しにもつなげることができます。

選手のコンディションチェック

近年、AIの導入が当たり前になりつつあるのが、選手のコンディションチェックです。

選手の心拍数や体温、筋肉の動きなどの身体の状況を数値化して、パフォーマンスのチェックができます。

目に見えない数値を可視化することで、怪我や体調不良の予測につながるため、長期的にコンディションのキープにもつながります。

トレーニングメニューの開発

メンタルやコンディションの分析結果をもとに、トレーニングメニューを開発することも可能です。

選手の状況に応じた適切なトレーニングメニューができることで、パフォーマンスの向上につながり、結果も出やすくなるでしょう。

また、食事においても、毎日の食事や身体の数値から足りない栄養素を算出しバランスの取れた食事メニューを提案することが可能です。

試合以外のサポートもAIによって充実させることが可能です。

戦況のリアルタイム分析

その場その場の戦況の分析も可能です。

例えば、サッカーの場合、どの選手がどのポジションでボールを受けたかや、パスの成功率などをリアルタイムで分析してチェックすることができます。

試合中に選手のプレイを修正したり、戦術の練り直しにも大きく貢献することができることから、多くのスポーツで注目されています。

技術を競うスポーツでの採点

人間の目では追えない一瞬の動きもチェックできることから、スケートや体操、飛び込み競技など技術を競うスポーツでAIでの採点が取り入れられています。

最近では、多くの選手が高難易度の技を繰り出すようになっていることから、AIを使って数値化することで、選手のパフォーマンスを瞬時に捉えることができるようになりました。

AIの情報をもとに採点できるため、公平で正確な採点をすることができます。I

チケット価格の調整

多くの競技で一般化されたダイナミックプライシングもAIの導入によって進んでいます。

ダイナミックプライシングとは、試合によってチケットの価格が変動する取り組みです。試合日程や対戦相手、座席の売れ行き状況によって独自の価格を算出することができます。

そのため、平日の空いている日は安く販売することができ、タイトルがかかった大切な試合は満員が予想されることから高めに価格が設定されるようになりました。

試合のハイライトの作成

試合の見どころを切り取って、映像にするハイライトもAIによって自動化されています。

2023年のラグビーW杯でも実際に導入され、観客の歓声や表情などから試合で盛り上がったシーンを自動的に切り取って作成されています。

自国の得点シーンや逆転したシーンなど、歓声が大きかったものはハイライトとしてまとめられます。

実際に盛り上がったシーンを切り取れるため、今後も注目されるシステムでしょう。

会場の混雑状況の予測

AIの予測分析によって、イベントや大会などの混雑状況を確認することも可能になっています。

満員の観客が集まる会場は、スタッフや観客などで混雑します。

その際に、会場の最寄駅や飲食店などの混雑状況を予測して表示することによって、観客の不満やスタッフ・警備員の負担を軽減することができます。

ドローンでのカメラ中継

2022年のサッカーW杯でも導入されたドローンでのカメラ中継も、AIの活用です。

従来の中継に使うカメラよりも大幅に台数を増やせることから、様々な角度でスポーツを楽しむことができます。

特に、サッカーやロードレース競技など、動きが多いスポーツにはドローンがより活躍するでしょう。

動き続ける選手の細かいプレーもチェックできるのは、大きなメリットと言えます。

試合を左右する判定

近年では、試合を左右する判定にもAIを導入するケースが増えました。

審判や採点者は公平で厳格なジャッジが求められる一方、人間が行う以上は絶対に正しいジャッジをするのも難しいと言われています。

しかし、AIであれば、細かな動作や微妙な位置でのファールなども平等に確認できるため、正しいジャッジが可能になりました。

例えば、サッカーではAIの画像や映像処理能力を活用してVAR(ビデオアシスタントレフリー)が導入されています。

この導入によって、オフサイドを自動的に判断するなどで誤診を防いでいます。

AIがスポーツの審判をするのは可能?

AIができることは多いですが、予測できないことを判断するのは苦手と言われてきました。

しかし、最近ではAIがスポーツの審判をするケースも増えてきました。

その中でも、実際にテニスと野球とサッカーはAI審判を導入した事例があります。

ここからは、AIがスポーツの審判をした事例を3選見ていきましょう。

AIがスポーツの審判をした事例①テニス

テニスの試合では、ホークアイという機械によってボールの落下点を自動で判断しています。

コートを自動的にスキャンし、AIでボールの落下点を判別してボールが入っているか、外に出ているかどうかをジャッジします。

従来であれば、ボール判定は人間が一瞬で判断して決めなくてはいけなかったため、精度の面で課題があったり、大切な場面で誤審があったりと不満の原因になっていました。

しかし、AIを導入することによって、正確に素早く判断できるようになったため、ジャッジでの不満を解消することが可能になりました。

AIがスポーツの審判をした事例②野球

野球はストライク判定かボール判定か、セーフかアウトかなど一瞬のプレーを瞬時に判断する必要があります。

最近ではリクエスト制度が導入されたものの、ボールのストライク判定についてはリクエストの対象ではないためファンの中でも不満の一つとなっています。

この問題を解消すべく、MLB傘下のマイナーでは実際にストライクボールの自動判定システムをAIが行う取り組みを実験的に導入しました。

しかし、明らかにボール球と判定されるであろう、ストライクゾーンをかすめてはいるが、逆方向に大きくそれる投球やワンバウンドする投球もストライク判定となり課題が残る結果となっています。

判定が不服なジャッジが続くと「審判をAIにしてほしい」とのファンの声も上がりますが、野球に関しては実際のところまだまだ人間が行ったほうが精度が高いと言えるでしょう。

AIがスポーツの審判をした事例③サッカー

AIによって大きく判定が変わったのがサッカーの事例です。

2022年のサッカーW杯で、日本のゴールシーンの前にオフサイドがあったかどうかの判定がVARによって行われました。

実際に映像を見ると、誰が見ても明らかに線からボールが出ていたのですが、別の角度から見ると微かにボールが残っていてゴールが認められたという事例があります。

このゴールは、サッカー日本代表の三笘選手によって生み出されたことから「三笘の1mm」という言葉も作られるほど話題になりました。

1mm残っているボールを人間の目で瞬時に判断することは、現実的に考えても不可能でしょう。しかし、AIによって様々な角度からチェックできたことから、日本の勝利にAIが大きく貢献した瞬間と言えます。

AIがスポーツに関わるデメリット

AIはアスリートやチームのサポートだけではなく、最近では審判まで務めるようになりました。

「もはや試合以外でAIができないことはないんじゃないか」と思うかもしれませんが、スポーツにAIを導入するにはデメリットもあります。

ここからは、AIがスポーツに関わるデメリットを見ていきましょう。

大量のデータが必要である

AIを導入するには大量のデータが必要です。

そのためアマチュアチームや創立して間もないチームの場合は、なかなかデータが集まらずに活用できないケースも多いでしょう。

データを集めなければAIを活用することもできないため、導入までに時間がかかることはデメリットと言えます。

膨大なコストがかかる

AIは精度が高く、パフォーマンス向上に大きく貢献できる一方で、膨大なコストがかかるのがデメリットです。

スポーツチームによっては費用がネックとなり、導入したくてもコストが足りずに断念してしまうケースも少なくありません。

導入したとしても、AI人材がいなくて活用できない場合もあるため、AI導入までのハードルが高いといえます。

競技によっては判定が正確ではない

先ほど、野球の審判の事例を紹介したように、競技によっては判定はまだまだ正確にできない場合もあります。

テニスやサッカーなど誤審を防ぐことに貢献した事例もありますが、全てのスポーツに導入が正しいかというとまだまだ課題が残ります。

現状は、人間が行ったほうが正確な判定が多いスポーツもまだまだあるでしょう。

スポーツ業界でもAIは活用できる

この記事では、スポーツ業界におけるAIの活用事例とデメリットをご紹介しました。

スポーツ業界も最近のAIブームの例に漏れず、多くのシーンで導入されています。

今後も、ますますAIを導入するシーンが増えてくると予想されます。

ぜひ、スポーツ観戦する際はAIの活躍にも注目してみてはいかがでしょうか。

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