2019年6月27日、渋谷ソラスタコンファレンスでESTYLE AI LOUNGE主催のもと「【ESTYLE AI LOUNGE】データアナリスト・機械学習エンジニアの実情とAIキャリアの築き方」が開催されました。
イベントではデータアナリストの浅野礼子氏(株式会社ドコモ・インサイトマーケティング)、u++氏、機械学習エンジニアのばんくし氏に、自身の経験や今後のAI人材のキャリアについてお話いただきました。
本記事ではばんくし氏(@vaaaaanquish)が登壇。登壇者のうち唯一の転職者という観点から、自身のキャリアと現状の業務、そして今後のAI人材に求められるものについて発表しました。
会場にだけ知らされた、転職の裏話
ばんくし氏(以下、ばんくし):よろしくお願いします。私はSanSan、Yahoo!、エムスリーという会社で機械学習のエンジニアをやってきまして、調べてはいないですけどこの中(会場)で多分、一番Twitterが好きです。今日の登壇者の中で転職経験があるのは私だけなので、今回は転職の話をしながら段々とエモい話に入っていこうと思います。
(会場限定の裏話)。
キャリアは人生そのもの。転職もタイミングがある
(7分に及ぶ自身のキャリア説明を終えて)
なんで私が7分間も使ってここまで自分のバックグラウンドを話したのかっていうと、「人生そのものだよね、キャリアって」ていうところが私の考え方の根底にあるからなんです。企業の考え方とか働き方とかはその企業のフェーズによって変化したりするものなので、転職に良いタイミング、悪いタイミングが誰にもあるんです。
ただ、機械学習エンジニア業界自体がバブル期でいろんな採用が行われていますけど、応用できる範囲はそんなに広くはありません。インフラみたいにどこの企業でもできるっていう感じではないって理解しておかないまずいよねと思っています。
で、今の業界全体の現状はどんな感じなの?っていうとやっと「知の高速道路」みたいなのが整備されつつあるような状態ではないかと私は思っています。私が学生の頃なんて機械学習自体がなんなら明るい分野じゃなかったので学会とかに行っても「それってやる意味あるの?」って言われることも多くありましたね。
逆に、機械学習が流行したことによって人材として突出することが難しくなっている気がします。自分自身で何をどれだけアウトプットをしたら評価されるのか、を考えないとダメなので、目的を持たずにただやっていても全然評価されないことがあり得ます。なおかつ、その知の高速道路を作った人の講演とかも話半分で聞かないとダメですよ、と思います。そもそもキャリアについてインターネットで情報を公開する世代って今まであんまりなくて、そういう人たちの話を全部鵜呑みにしてしまうのは高速道路に竹馬で入るようなものです。それって大丈夫?って。
今の市場のフェーズを理解しつつ、自分の将来設計を考えることが重要
私はこれまで2回転職をしたこともあって、機械学習エンジニアの市場だったりを理解しているつもりですが、結構まだまだピンキリな世界だと思っています。データサイエンスや統計機械学習ていうのは実際のところ使えるフェーズが限られているので、今、業界がどういうフェーズなのかを理解することが大事です。
本来なら経営層がこういうデータを使ってこういう金儲けができるよねって考えて、マネージャーがそれを下に伝えてくれて、エンジニアがそれを開発してくれて人事がそれに合った人を採用してくれる…っていうのがベストなんだけどそんな会社はこの世にはあまりないので…。結局は自分で考えることが必要かなと思います。
よく、AI業界はバブルでいつかはじける…と言われますけど、それは正しい表現じゃなくて実際のところ、業界全体で正当な評価が始まっているということだと思います。企業のフェーズによってこういう機械学習エンジニア、こういうデータサイエンティストを採用すればいいというのを企業が分かり始めているので、そうなってくると他のエンジニアとの比較が簡単になり、このエンジニアは考え方が悪いのか、技術的に問題があるのか、そもそも企業の今のフェーズに合っていないから採用しないとか、いろんな軸で判断しているようになっているって感じですね。
そうなってくると自分で自分と相手の企業のフェーズを見抜かないと変なところに就職してしまいます。つまりケースバイケース。そう、キャリアはケースバイケースなんです。
技術、キャリア、両方のキャッチアップが必要
さらに、この業界(AI業界)は急速に発展してる分野なので、技術のキャッチアップとキャリアのキャッチアップが大事になってきます。私の実感だと変化の早さに市場も徐々に追いつき始めているような気がします。先ほどもお伝えした通り、エンジニアに対して適切な評価が始まっています。なので「じゃあ明日転職しよう」っていうときに良い会社を見極められるようにしておくのはそれなりに大事になってくると思います。
そしてさらに重要なのが市場と自分の分析ですね。たまに、大体の雰囲気であの会社っていいよねと言う人が多いですが、それってその人のバックグラウンドとか所属企業とか、そもそも会社のフェーズによって全然違うというのはさっき紹介した通りで。そもそも、同じ待遇で同じ環境、それでずっといられるかっていうと会社って全くそうではない。
会社は変化し続けるので、「今のタイミング」で自分がどうするか、どの基準から会社を選んだほうが良いのかというのを、キャッチアップした情報から選び、自分で考えたほうがいいよねって思います。
そしてなるべくなら、自分は今後どういうキャリアを形成したいかという将来像も考えておいたほうが良いでしょう。特にこれは自分は自己分析ができてると思っている人に必要なことで、実際、自分の将来像を1時間話せるか?というと話せない人の方が多いと思います。
それは何でなのかと言うと自己分析も技術と一緒で、何かしらのアウトプットをしてフィードバックをもらって、というように研鑽していかないと話せないんです。キャリアのアウトプットというと、半年に1度の1 on 1とか、振り返り面談、カジュアル面談とか、そういう機会に自分のキャリアをアウトプットしていくことが大事ですね。
週一回は必ずアウトプットを。
技術とキャリアのアウトプットの話で言えば、私は技術とキャリアのアウトプットを含めて技術研鑽と比べた時に3:7くらいがちょうどいいと思っています。3:7っていうと週一回は必ずキャリアか他のアウトプットに時間を費やすってことですからね。それくらい自分のキャリアについて考えたほうがいいですよってことです。
実際にキャリアのアウトプットって何でも良くて、Githubで好きなOSSのリードに更新するとかでも全然良い、理想はアウトプットが研鑽になっている状態。どこかで確実に成果につながっていないとこっち(企業側)も評価できないですからね。Kaggleエキスパートまでやったけど特に所感ないですっていう人はちょっと厳しいかなと。自分の納得できるところとか評価されたいというところまでやったほうが良いと思います。
で、ここまで話してじゃあお前はどうなんだっていうと、私としてはMLエンジニアの立ち位置、モデルを作り、APIとかOSSとかSDKを作って貢献していくことをしたいと思っています。その中で突出した人材として何ができるのかっていうと業界内外への発信力があると思っていて、それと組み合わせて、企業との組み合わせで売り上げに貢献できる力を身に付けたいと思っています。目的にフィットしてる場所で働けてるのは大事で、そこで成果を出していくことが大事ですと。
まとめると各社働き方はバラバラ、自己分析とか研鑽はとても大事で自分がどうなりたいかを考えることが大事です。3分オーバーですね、ありがとうございます。
(会場拍手)