シンギュラリティが来ないと言われる理由は?将来の懸念点を解説

シンギュラリティが来ないと言われる理由

AIを語るにおいて、抑えておきたいのがシンギュラリティの存在です。

シンギュラリティは、AI(人工知能)の知性が人間を超えるタイミングのことです。

2023年時点でAIはどんどん進化を遂げており、最近では人間の知能を既に超えているのではないかという声も少なくありません。

しかし、一方で「シンギュラリティは来ないのでは」という意見もあります。

なぜAIが目まぐるしく発展を遂げているにも関わらず、シンギュラリティが来ないと言われているのでしょうか。

この記事では、シンギュラリティが来ないと言われている理由について解説していきます。

ぜひ、この記事を通してAIの将来について考えてみましょう。

目次

シンギュラリティとは?

そもそも、シンギュラリティという言葉は、人工知能の第一人者であるレイ・カーツワイル博士によって2005年に提唱されました。

シンギュラリティは、日本語では「技術的特異点」と訳され、人間よりも賢いAIを生み出せるようになる時点を指しています。

今後、AIがどんどん進化していくことは間違いありません。既に、人間と対等にやり取りができるAIも増えてきています。

やがて人間の知能を超えるAIが誕生するのはそう非現実的な話ではないと考えられるでしょう。

シンギュラリティを語るに欠かせない2045年問題

レイ・カーツワイル博士は、シンギュラリティについて「シンギュラリティは2029年にAIが人間並の知能を備えるようになり、2045年には技術的特異点が訪れる」と提唱しました。

このことから、シンギュラリティが起こることによって人間の生活や価値観が大きく変わることを懸念した2045年問題として取り上げられています。

AIが人間を超えた働きをすることによって、人間の仕事が奪われたり人間の身体の一部としてAIが機能する世界も十分に考えられます。

この2045年問題は「ムーアの法則」「収束加速の法則」という2つの法則を根拠に提唱されています。

ここからは、この2つの法則について見ていきましょう。

ムーアの法則について

ムーアの法則とは「集積回路に用いられるトランジスタの数が18ヶ月ごとに2倍に増える」経験則のことです。

競合との競争に勝つために達成すべき目標値を、18ヶ月ごとに2倍という目安に設定し、これを目標に半導体技術を高めていきました。

目標通りに集積率を上げて進化を続けることで、どんどん性能が上がっていき成長を遂げていきました。

このムーアの法則によって、どんどんAIも発展していくと2045年にはAIが人間を超えるのではないかと提唱されています。

収穫加速の法則について

収穫加速の法則とは「技術の発展や進歩は線的に向上するわけではなく、指数関数的に向上する」という法則のことです。

簡単にいうと、新しい技術が発明されることによって、その技術が次の進歩までの期間を短縮させるという意味です。

次の技術の発明の間隔が短くなるにつれて、その分成長スピードも早くなるという概念です。

まさに、現在はAIのチャット機能が人間のような会話レベルに到達したり、イラスト作成や音楽作成など様々な技術が発明されています。

シンギュラリティが来ないと言われる理由

一方で、シンギュラリティが来ないと言う声も否定できません。

なぜここまで根拠があり、2023年現在でもAIの進化が目まぐるしいにも関わらずシンギュラリティが来ないと言われているのでしょうか。

シンギュラリティが来ないと言われる理由について見ていきましょう。

①AIの学習能力には限界がある

シンギュラリティが来ないと言われる理由の1つ目は、AIの学習能力には限界がある点です。

クリエイティブな仕事や判断能力といった、以前であれば懸念点になっていたものも最近のAIではこなすことができて進化を遂げています。

しかし、あくまで人間がつくったものを学習させて進化させていることから、人間が学習させなくなったらある程度の学習能力で頭打ちになるのではという意見もあります。

AIは人間を手助けするためのものなので、AIの能力に満足したらこれ以上は学習させる必要がなくなるため、人間の脅威になるまでには成長しないのではないかと考えられています。

②永遠に進化することはできない

シンギュラリティが来ないと言われる理由の2つ目は、AIが永遠に進化することはできない点です。

ムーアの法則に基づくと、目標通り進化をしていくことで、AIもより発展していくと考えられていますが、一方でムーアの法則の反対意見もあります。

例えば、NVIDIAの社長であるジェン・スン・フアンは「ムーアの法則は終わった」と述べました。

半導体の成長ペースが鈍化して、現在では毎年数パーセント規模だと言われています。つまり、どんなに著しく成長をしたとしてもいずれは進化が止まっていく可能性があるということです。

シンギュラリティが来る前にAIの進化が止まっていくのではと考えられています。

③人間が発展させる以上超えられない

シンギュラリティが来ないと言われる理由の3つ目は、AIを人間が発展させる以上は超えられない点です。

AIは人間が繰り返し学習をさせて進化させていきます。逆に言うと、AIは人間の手によってでしか進化ができないという声もあります。

AIは人間が進化させるものという考えから、人間が発展させる以上は人間を超えることはないのではと考えられています。

人間の思考能力を超えられないのは本当?

実際に、AIは人間の思考能力を超えることはできないのでしょうか。

結論、2023年になって一気にChatGPTが流行ったように、2023年時点では既に知能的に人間を超えているのではないかと言われています。

ChatGPTは、人間との会話のやり取りやGoogleのような検索機能が搭載されているだけではありません。

手書きのメモを分析してコード生成をしたり、画像を解析したりプログラムの生成をしたりなど、人間の手では時間がかかる作業や専門的な作業を簡単にこなすことが可能です。

また、AIの懸念点であった歌詞の作成や小説のシナリオ作成などクリエイティブな部門でも進化を続けています。

このように、人間を驚かせるような回答や機能が進んでいることから、人間の思考能力を超えられないということはあまり考えられないかもしれません。

今後は人間の脅威となる懸念点も

近年ではセルフレジや工業での検品など単純作業をサポートするAIが増えていますが、ChatGPTでのコード生成やプログラム作成など専門的な技術ができるAIも登場しています。

このことから、今後はAIが人間の仕事を奪ったり、自我を持ったAIが登場するのではないかという懸念点もあります。

進化を続ける一方で、AIに任せても問題ない作業が増えることによって、人間が不要になる時代が近付いている可能性は否定できないでしょう。

シンギュラリティは技術的には可能である

ここまでのことを踏まえると、シンギュラリティは来ないという声もありますが、技術的にはシンギュラリティは可能だという結論になるでしょう。

現時点でも、一部のAIは人間を上回った機能が搭載されています。コードの生成や予測にしても、確実に人間より正確でスピードも早く回答を導くことができるでしょう。

しかし、今のAIの進化を続けた先にシンギュラリティがあるかと言われたら必ずしもそうではないでしょう。

AIに学習させてコードを作成することはできても、突然変異を起こしてAIが人間の脅威になるプログラムを独自に組んで暴走するとはあまり現実的ではありません。

技術的には可能だからこそ、人間の脅威になるシンギュラリティを意図的に起こさないように注意深く使う必要があるでしょう。

最終的には人間がAIを使いこなさなければいけない

AIがどんなに進化を続けたとしても、最終的には人間がAIを使いこなさなければいけません。

AIはあくまでも、人間の生活を便利にするための機能のため、人間がAIに振り回される状態は将来的にも脅威になりかねません。

もしAIが暴走をしたり悪い方向に進化をした場合に、人間が止められるようにコントロールしなくてはいけません。

既に、完全自動運転や人体に埋め込むAIチップなど使い方を間違えると脅威になりかねない技術の開発が進められています。

どんなに便利なものが開発されたとしても、最終的には人間の判断でAIを止めることが大切になります。

シンギュラリティに向けた取り組みも必要

この記事では、シンギュラリティが来ない理由について解説いたしました。

現時点では、シンギュラリティが来るという声もあれば、シンギュラリティが来ないという声もあります。

どちらにせよ、2045年問題となっているときまでにAIがより進化を遂げることは間違いありません。

もし、シンギュラリティが起こったとしても、AIと人間が共存できるように今のうちからシンギュラリティに向けた取り組みが必要となっていくでしょう。

1人1人がAIを使いこなす時代がすぐそこまで来ています。ぜひ、この機会にAIの世界に触れてみてはいかがでしょうか。

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