これからAIエンジニアを目指す方にとって「資格って必要なのかな?」と気になりますよね。
特に未経験の方にとっては、AIエンジニアになるための学習方法や時間の使い方が極めて大切です。
そのため「資格に時間を割くべきか?」は、分析しておく必要があります。
今回の記事では、
・資格の必要性
・資格を取得する価値
・未経験者におすすめの資格
をやさしく解説します。
今回の記事を読み終える頃には「資格の価値」が判断できるようになるかと思います。
ぜひ楽な気持ちで読み進めてみてくださいね。
AIエンジニアになるには資格が必要?
結論からお伝えすると「AIエンジニアに資格は必須ではありません」
資格がなくてもAIエンジニアになれますし、反対に資格をとってもAIエンジニアになれる保証はどこにもありません。
また、インターネットで「AIエンジニア 資格」で検索すると、多くの記事で「資格よりもポートフォリオ(成果物)作りに時間を割くべき」と結論付けられています。
資格で得た知識がそのまま実践に役立つことは少なく、時間もお金もかかる。
これが「資格不要論」の主な理由です。
ですが、これはエンジニア目線での考えであり、視点を変えると違う価値が見えてきます。
資格はあることにとても「役立つ」のです。
未経験からAIエンジニアになるには資格が役立つ!
資格には、「自分の実力を証明できる」という価値があります。
では、資格は何を証明できて、どんなことに役立つのでしょうか?
AIエンジニアの知識・スキルの証明に役立つ
未経験からAIエンジニアを目指す際には、採用の担当者へ「私はこれくらいの知識があります」と客観的な指標で知識量を示す必要があります。
例えば、統計検定2級を取得していれば「統計に関してはAIエンジニアとして必要な知識はありそうだな」と判断してもらえることでしょう。
知識を証明できる資格は、特に書類選考などであなたをしっかりとサポートしてくれます。
また、資格によってはスキルを証明することができます。
スキルの証明はAIエンジニアになるために最も大切なポイントで、様々な手段を活用して「アウトプットする力」を提示する必要があります。
例えば、技術検定である「Python試験」や「E資格」を取得していれば、一定のスキルを評価してくれることでしょう。
スキルを証明できる資格は、採用担当者に「実際に会って、話を聞いてみたい!」と興味を持ってもらえることに繋がります。
スキルを証明するやり方としては、他にもポートフォリオ(成果物)の作成、エンジニアのコミュニティーサイト「Qiita」への投稿などがあります。
なお、アウトプットの重要性は下記の記事を読んでみると参考になると思います。
参考資料:Qiita『【未経験から転職】「28歳+空白期間1年+高卒+プログラミング経験なし」が、自社開発の企業からスカウト頂いてエンジニア転職する4ヶ月間の体験談』
このように、知識やスキルを証明できる資格は、未経験からAIエンジニアへの就活で大活躍してくれます。
もしも履歴書でアピールポイントが不足していると感じるのであれば、資格で補うのも「未経験からAIエンジニアになるため」の立派な戦略と言えるでしょう。
結論:資格は「就活の武器」と「学習の目標」として有益
これまでお伝えしたことを踏まえると、資格は「就活の武器」になることが分かります。
就活の武器になるのであれば、未経験からAIエンジニアを目指すための学習目標としても適していると言えるでしょう。
ただ、AIエンジニアになるためには、やはり「スキルの習得」が必要不可欠です。
なので、資格で実力の証明材料を補いながら、同時に未経験者向けの講座やスクールなどでスキルを身につけていくのが、未経験からAIエンジニアを目指すための手堅い戦略だと思います。
それに安心してください。AIエンジニア関連の資格は、難易度が高すぎず、スキルの習得と同時並行で学習を進められる豊富なラインナップが揃っています。
未経験からAIエンジニアを目指す方におすすめの資格はこの5つ!
ここではAIエンジニア関連の5つの資格をご紹介します。
未経験からAIエンジニアを目指ために資格取得を考えるなら、基本的にはココの中から選べば大丈夫です。
AIエンジニアを採用している企業への認知度がありますし、より専門的な試験はAIエンジニアになった後に取得すればいいからです。
資格名 | 主催 |
G検定 | JDLA |
Python試験 | ※ |
統計検定 | JSSC |
E資格 | JDLA |
画像処理エンジニア検定 | CG-ARTS |
Google 認定資格 Professional Data Engineer |
※:一般社団法人 Pythonエンジニア育成推進協会
【略称】
JDLA:一般社団法人 日本ディープラーニング協会
JSSC:一般財団法人 統計質保証推進協会
CG-ARTS:公益社団法人 画像情報教育復興協会
①G検定
【G検定の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | 制限なし |
実施概要 | 試験時間:120分 知識問題(多肢選択式) オンライン実施 |
出題範囲 | シラバスより出題 |
受験費用 | 一般:13,200円(税込) 学生:5,500円(税込) |
受験サイト | G検定試験事務局 |
【G検定の解説】
G検定は、「ディープラーニングの知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているか(引用:JDLA)」を証明できる資格です。
AIがビジネスに浸透したことにより、AIエンジニアだけでなく、企業の営業担当や広報など、企業レベルで「G検定」の資格取得を促す動きが出ています。
「G検定」の価値はあらゆる職種で高まっています。
オンラインで実施できる上に、AIに関して体系的に学べます。
未経験者がはじめて取得する資格としては最適ともいえる資格です。
【G検定の参考書】
公式サイトに「JDLA G検定合格者推薦図書」が紹介されていますので、こちらを参考にすると良いでしょう。
「初心者向け」、「実装者向け」、「Python」、「数学理論」、「ビジネス知識」と、カテゴリーごとに絞り込めますので、知識を補いたい分野の書籍をピンポイントで探せます。
【G検定はこんな人におすすめ】
- AIの知識を幅広く身につけたい人
- これからAIエンジニアを目指す人
- 企業の営業担当
②Python試験(Python 3 エンジニア認定基礎試験)
【Python試験の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | 制限なし |
実施概要 | 問題数:40問(すべて選択問題) 試験時間:60分 合格ライン:正答率70% |
出題範囲 | 「Pythonチュートリアル 第3版」より出題 |
受験費用 | 一般:1万円(税別) 学割:5千円(税別) |
【Python試験の解説】
Python試験は、AIエンジニアの主要言語「Pythonに関する知識を有しているか」を証明できる資格です。
Physon試験には「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」の2種類があります。
未経験者は、文法基礎が問われる「基礎試験」からチャレンジするのがおすすめです。
難易度や受験料の面からもチャレンジしやすいです。「企業にアピールするためにもとりあえず資格を一つとっておこう」と考えるのであれば、G検定と並びおすすめの資格です。
【Python試験の参考書】
公式サイトに「認定教材」が紹介されています。「Python 3 エンジニア認定基礎試験」、「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」それぞれ参考書がありますので、基本はこちらをベースに学習を進めましょう。
【Python試験のこんな人におすすめ】
- プログラミング初心者
- これからAIエンジニアを目指す人
- 企業の営業担当
③統計検定
【統計検定の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | 制限なし |
実施概要 | 試験時間:90分 4~5肢選択問題(マークシート) 紙・オンライン選択可 |
出題範囲 | ※受験区分により異なる |
受験費用 | ※受験区分により異なる |
【統計検定の解説】
統計検定は、「統計に関する知識や活用力を有しているか(引用:JSSC)」を証明できる資格です。
AIエンジニア必須の知識「統計学」。就職はもちろんのこと、AIエンジニア向けのセミナーや講座は、統計学の基礎を学んでいることを条件していることも多く、統計学はぜひとも身につけておきたい分野です。
統計検定は、1級から5級まであります。
AIエンジニアを目指すには「2級レベル(大学基礎数学レベル)」の知識は必要と言われます。そのため、統計検定を受験するのであれば、2級を目標にして学習を進めるのが良いです。
【統計検定の参考書】
公式サイトに「おすすめの関連書籍」が紹介されています。級ごとの問題集も用意されていますので、受験する級に応じて1冊購入して学習を進めていきましょう。
【統計検定はこんな人におすすめ】
- 統計学の基本を身につけたい人
- これからAIエンジニアを目指す人
④E資格
【E資格の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
実施概要 | 試験時間:120分 知識問題(多肢選択式) 指定試験会場 |
出題範囲 | シラバスより出題 |
受験費用 | 一般:33,000円(税込) 学生:22,000円(税込) 会員:27,500円(税込) |
【E資格の解説】
E資格は、「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているか(引用:JDLA)」を証明できる資格です。
今回ご紹介する5つの資格の中では、最も企業からの評価が高いことが予想される資格です。
ただし、「応用数学」・「機械学習」・「深層学習」・「開発環境」に関する幅広い知識が求められるため、難易度は高めです。
以下の条件に当てはまる場合のみ、受験を検討して良いでしょう。
- 応用数学をある程度理解している
- 資格の学習に時間が割ける(受験資格にも注意してください)
- 認定プログラム及び受験費用が苦にならない(今回ご紹介する資格の中で最も高額です)
また、2020年度に受験した方の内、約70%が現役でシステム開発や研究に携わっています。
未経験者の方にとって「はじめに目指す資格とするかどうか」は、慎重に考える必要があります。
参考資料:一般社団法人 日本ディープラーニング協会「E資格(エンジニア資格)2020#1」結果発表
【E資格の参考書】
「JDLA 監修書籍」がおすすめです。JDRAの認定プログラムで「不足している」と感じたジャンルのみ、書籍で知識を補うと良いでしょう。
【E資格はこんな人におすすめ】
- これからAIエンジニアを目指す人
- 現役のAIエンジニア
- 研究職
⑤画像処理エンジニア検定(ベーシック)
【画像処理エンジニア検定の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | 制限なし |
実施概要 | 試験時間:60分 知識問題(多肢選択式・10問) 指定試験会場 |
出題範囲 | シラバスより出題 |
受験費用 | 5,600円(税込) |
【画像処理エンジニア検定の解説】
画像処理エンジニア検定は、「画像処理の技術に関する基礎的な理解と、プログラミングなどに知識を利用する能力(引用:CG-ARTS)」を証明できる資格です。
画像処理エンジニア検定には、「ベーシック」と「エキスパート」の2種類があります。
未経験者は「ベーシック」からのチャレンジがおすすめです。
画像処理エンジニア向けの資格なので、ある程度エンジニアとしての進むべき方向性が決まってから、受験するかを判断すべきかと思います。
【画像処理エンジニア検定の参考書】
公式サイトに「対応書籍」が紹介されています。ベーシックであれば「ビジュアル情報処理ーCG・画像処理入門ー」をベースに学習を進めると良いでしょう。
【画像処理エンジニア検定はこんな人におすすめ】
- これからAIエンジニアを目指す人
- AIエンジニア(画像処理)
- 企業の営業担当
⑥Google 認定資格 Professional Data Engineer
【Google 認定資格 Professional Data Engineer の概要】
項目 | 詳細 |
受験資格 | 制限なし (実務経験: 3 年以上、GCP 利用経験: 1 年以上 推奨) |
実施概要 | 試験時間:120分 知識問題(多肢選択式・50問) 指定試験会場 |
出題範囲 | 認定試験ガイドより出題 |
受験費用 | 200$(税込) |
【Google 認定資格 Professional Data Engineer の解説】
Professional Data Engineer は、Google 公認試験の 1 つであり、GCP を用いてビッグデータの処理や機械学習の活用ができることを証明する資格です。この資格を取得することで、最近のトレンドでもある クラウド技術・ビッグデータ・AI の全てに精通していることを証明することができます。
この資格に合格するためには、次のような要件を満たしている必要があります。
- ビッグデータに最適なクラウド上のストレージオプションを選択できるスキル
- ビッグデータをバッチ、またはストリーミングで処理する技術
- ビッグデータを BI ツールなどを用いて可視化・分析できる技術
- データに合わせて、最適な機械学習モデルを選択・構築できる技術
- クラウド上でデータを安全に扱うためのセキュリティに関する技術
このように幅広い範囲から問題が出題されるため、Professional Data Engineer 公認資格は AI エンジニアだけでなく、データアナリストやデータサイエティスト、データエンジニアを目指してる方にとっても取得する価値の高い資格といえます。また、AI に関する知識だけでなくデータに関する幅広い知識を有していることを証明することができるため、市場価値の高い AI エンジニアを目指すのであれば、目標の 1 つに加えてもいい資格と言えるでしょう。
【Google 認定資格 Professional Data Engineer の参考書】
Google の公式から対策本が出版されていますが、英語で記述されており、日本語版は出版されていません。また、国際資格というこもあり、日本語で記述されている試験の対策本などは出版されいません。
こちらの資格に関して、具体的な対策方法をまとめた記事を作成しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:[Google 認定資格] GCP Professional Data Engineer の勉強方法と対策
【Google 認定資格 Professional Data Engineerはこんな人におすすめ】
- AI エンジニアとして幅広い知識を得たい方
- 市場価値の高い AI エンジニアを目指したい方
- データサイエンティストを目指している方
- 流行りのクラウド技術やビックデータの取り扱い技術をマスターしたい方
まとめ
就職の武器となる資格は、未経験からAIエンジニアを目指すための学習目標として有益です。
ですが、いきなり難易度の高い試験にチャレンジするのは挫折の原因になります。
AIの知識を幅広く身につけたいなら「G検定」、プログラミングなら「phython試験」、数学の知識を補うなら「統計検定」にチャレンジすることがおすすめです。
AIエンジニアの道を切り開きたい!この目標を叶える一つの方法として「資格の有効活用」を検討してみてはいかがでしょうか。
著者:はっつん
IT企業のマーケティング兼、フリーランスライター。医療系IT企業で、エンジニア、法人セールス、マーケティング、事業運営と、10年以上のキャリアを歩んできました。これらの経験をベースに、進化するAIに関するテクノロジーの解説、ビジネスへのインパクトなど、幅広い観点からの記事を書いています。