法人向けAIサービスとして注目されている「Azure OpenAI Service」は、近年多くの企業で導入が広がっています。
ChatGPTと比較して、セキュリティが高く、社内向けのデータが利用できるため、今後もよりAzure OpenAIを利用したサービスが増えることが予想されるでしょう。
この記事では、Azure OpenAI Serviceの活用事例を紹介します。導入するメリットも解説するので、Azure OpenAIを活用したいと考える方はご参考ください。
Azure OpenAI Serviceの特徴
Azure OpenAI Serviceは、OpenAIとMicrosoft Azureが提携して開発した人工知能(AI)サービスです。
自然言語処理や会話型AIを実現するためのクラウドプラットフォームで、DALL-EやWhispe、GPT-4などの自然言語処理モデルが利用できます。
以前は、法人向けOpenAIサービスでしたが、2023年に一般向けに提供が始まったことで、より注目されるようになりました。
Azure OpenAI Serviceを企業で導入する事例が増えている
最近では、Azure OpenAI Serviceを企業で導入する事例が増えています。
Azure OpenAIは、クラウドベースで手間がかからないため、ほかのAIサービスよりも導入しやすいのが特徴です。また、Azure OpenAIは多様なAIモデルが利用できるためさまざまなニーズに対応するにも向いているといえます。
そのため、顧客対応の自動化や業務効率化、新しいサービスの開発など、多くのシーンで活用されるようになりました。
Azure OpenAI Serviceを導入している日本企業の活用事例
では、Azure OpenAI Serviceを導入している企業の活用事例を見ていきましょう。
まずは、日本企業の活用事例を紹介します。
株式メルカリ
フリマアプリで人気のメルカリでは、AIアシストを搭載しています。メルカリ上での出品や購入などで困ったことや問い合わせなど、AIを使ったアドバイス機能により解決が可能です。
また、ほかに出品している同じ商品を学習して、売れやすい価格を提案してくれたり、セールスポイントなどを提案してくれます。
株式会社すかいらーくホールディングス
ファミリーレストランのすかいらーくは、AWS RekognitionとAzure OpenAIを用いて全店舗の賞味期限を管理するシステムを採用しています。
以前は、商品ごとのフォーマットや記載場所が異なるため、賞味期限の管理が大変でしたが、Azure OpenAIによって画像情報から賞味期限情報を抜き出して、自動チェックができる仕組みを実現しました。
弁護士ドットコム株式会社
弁護士に法律相談ができる弁護士ドットコムは、今までに寄せられた125万件以上の相談データをもとにAzure OpenAIが質問や回答を抽出し、AIが返答するサービスを実施しています。
AIを使うことで誰でも24時間相談できるので、気軽な利用が可能です。1日5回まで質問ができるので、弁護士への相談につなげることができます。
SBテクノロジー株式会社
ソフトバンクのグループ会社、SBテクノロジー株式会社は全社のコミュニケーションツールとしてAzure OpenAIを採用しています。
文章の作成や要約、議事録の作成などの業務効率化はもちろん、マニュアルなど社内情報を含んだ社内データベースにアクセスできるため、チャットベースで解決することが可能です。
また、各種問い合わせは蓄積されるので、利用すればするほど回答の精度が上がります。ナレッジを蓄積していくことで利用しやすくなるのもメリットでしょう。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、積極的に生成AIの導入を進めており、Azure OpenAI Serviceを活用して、顧客からの問い合わせに対して自動回答するチャットボットを開発しました。
ChatGPTをベースに開発され、自然言語による問い合わせに対して精度の高い回答を実現しており、今後も問い合わせ対応の効率化と顧客満足度の向上を目指しています。
楽天生命保険株式会社
楽天生命保険株式会社は、Azure OpenAI Serviceを活用して代理店向けの営業活動時の留意点や話題提供をしています。24時間365日どこでも確認できるため、好きなタイミングで確認できるのがポイントです。
こちらも、ChatGPTと連携しており、対話形式のサポートツールのため、AIの扱いに慣れていない人でも課題解決や営業活動に役立てることが可能です。
Azure OpenAI Serviceを導入している海外企業の活用事例
Azure OpenAI Serviceは、海外企業でも多く導入されており、世界中で注目されているAIツールです。
次は、海外企業の活用事例を紹介します。
Typeface
生成AIサービスが利用できる「Typeface」は、Azure OpenAIや独自のAIを利用してパーソナライズ化されたデザインの生成を導入しています。
画像や商品の詳細などブランドに関する情報をツールに取り込み、手順に沿って進めると、使用例に合わせてデザインやテキストのテンプレートを生成してくれるのが特徴です。
ユーザーだけではなく、従業員もキャンペーンやDM、ブログ投稿などで使用するための文章を自動的にカスタマイズできるので、業務の効率化にも役立っています。
CarMax
中古車小売業者「CarMax」は、検索エンジンのランキングにAzure OpenAIを導入し、AIプラットフォーム化を導入しています。
Azure OpenAIで車両比較や機能の概要、レビューなど膨大な量のデータの情報をまとめたことで、車の購入を考えているユーザーが簡単に調査できるようになりました。
車によっては、何千ものレビューが確認できるため、ユーザーの購入判断につながっているのもメリットでしょう。
Strabag SE
オーストリアの建設会社「Strabag SE」は、Azure OpenAI Serviceを活用して、新規建設プロジェクトのリスクを軽減するためのソリューションを導入しました。
アルゴリズムを使用してリスクのある建設プロジェクトを特定することで、業務の効率化や経済的損失のリスクの回避が可能になっています。
もともと、建設業界が非効率なことに対して課題を持っていましたが、この事例によって社内でのデータ共有が促進され、建設業界の課題解決に役立つことができました。
Azure OpenAI Serviceを導入するメリット
Azure OpenAI Serviceを導入している企業が多い理由は、セキュリティが強い点と多くの言語モデルを扱える点が挙げられます。
この2つのメリットを詳しく見ていきましょう。
セキュリティが強い
Azure OpenAI Serviceを利用する最大のメリットは、セキュリティの強さです。
Azure OpenAIは、90種類以上のコンプライアンス認証を持っています。コンプライアンス認証を取得済みのサービスとして運用することができるため、信頼性を高く保つことができます。
また、閉域接続が可能なため、外部からのアクセスを制限できるのも特徴です。不正アクセスやデータ漏洩を防ぎ、ネットワークのセキュリティ保護も万全なので、企業の導入に向いているといえます。
多くの言語モデルを扱える
Azure OpenAIは、多くの言語モデルに対応しているため、複数のAIモデルを利用してサービス開発ができるのが特徴です。
具体的には、下記のAIモデルを利用できます。
モデル | 説明 |
GPT-4 | GPT-3.5 を基に改善され、自然言語とコードを理解し、生成できるモデルのセット |
GPT-3.5 | GPT-3を基に改善され、自然言語とコードを理解し、生成できるモデルのセット |
埋め込み | テキストを数値ベクトル形式に変換して、テキストの類似性を促進できるモデルのセット |
DALL-E | 自然言語からオリジナルの画像を生成できるモデルのシリーズ |
Whispe | 音声を文字起こしして音声テキスト変換を翻訳できる一連のモデル |
テキスト読み上げ (プレビュー) | テキストを音声に合成できるプレビュー段階の一連のモデル |
業務内容に合わせて、最適なモデルを利用できるため、業務の効率化やパフォーマンスの向上につながります。
また、利用するモデルごとに単価を設定しているため、必要な分のみ払えばよいのもメリットでしょう。
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Azure OpenAI Serviceの活用事例まとめ
Azure OpenAI Serviceは、国内外問わずさまざまな企業で導入を進めており、業務の効率化に役立っています。
社内だけではなく、我々顧客にとっても満足度が高まるため、今後Azure OpenAIを導入したサービスはますます増えるでしょう。
ぜひこの機会にAzure OpenAIに触れて、AIサービスへの知見を深めてみてください。
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