2023年現在では、AIが身近なものになっており、日常生活で使いこなすシーンもどんどん増えてきています。
スマホのアプリや飲食店、スーパーなどAIを使った技術が発展していることから、今後も私たちの生活を快適にしてくれる進化が期待できます。
しかし、AIが進化していく一方で、シンギュラリティが懸念される声も挙がっています。
この記事では、シンギュラリティについて解説いたします。今後、AI化が進む中での懸念点についてみていきましょう。
シンギュラリティ(技術的特異点)とはどんな意味?
「シンギュラリティ(技術的特異点)」はIT用語ですが、よく意味が分かっていないという方も多いのではないでしょうか。
シンギュラリティとは、人間の知能を超えたAIが誕生する仮説を表す言葉の頃です。
AIと呼ばれる人工知能は、日々学習を繰り返して進化を続けています。この学習によって改良を繰り返して、いつの間にか人間を上回ってしまうのではないかと言われています。
とくに、近年では人間との会話が成り立つチャット機能や、精度の高いイラストを作成するクリエイティブ機能が発展しており、ますますシンギュラリティへの関心が高まっています。
シンギュラリティは2045年に起こると予測されている
AIですが、シンギュラリティの提唱者である、人工知能研究者のレイ・カーツワイル氏が「2045年にシンギュラリティに到達する」と予測しています。
日本でも、野村総合研究所が「10〜20年後、国内の労働人口の約49%が人工知能やロボットで代替可能になる」という報告結果を発表しており、人間の仕事がAIによって奪われるというのではないかという危機感が生まれています。
現状でも、既に計算や予測などは人間のスピードを遥かに超えていることから、現実的に有り得ない話ではないのではないでしょうか。
2045年問題として提唱
こういった、2045年に起こると予想されるシンギュラリティは「2045年問題」として提唱されています。
2045年というと約20年後には、AIが人間の知能を超えているということになります。まだまだ先に見えますがあっという間のことでしょう。
もちろん、今後AIが人間と同等、それ以上のパフォーマンスを発揮できるのであれば、より社会が発展していくのは間違いありません。
しかし、人間の知能を超えるからこそ、より人間の脅威となり生活を脅かすのではないかという懸念も否めません。
こういった、今後の人間の生活に影響を与える存在になるのではという点から、2045年問題となっているのでしょう。
シンギュラリティが社会に与える影響とは
では、具体的にシンギュラリティが社会にどのように影響を与える可能性があるのか見ていきましょう。
①仕事や職業がAIに置き換わる
単純なところでいうと、仕事や職業がAIに奪われる可能性がある点です。
現状、工場での部品や食品の検品や、スーパーや衣料販売店などのレジなどは、既にAIによる自動化によって人件費の削減が進んでいます。
また、近年の飲食店ではセルフレジやタッチパネルでの注文、ロボットの商品提供などでキッチン担当以外はほとんど無人のケースも増えています。
2023年時点でも、徐々に人間の仕事がAIに置き換わっていることから、今後よりAIの活躍の場が増えるのは間違いないでしょう。
人間の仕事や職業がどんどんAIに置き換わることによって、人間の失業者が増えていくのではないかと言われています。
②ベーシックインカムの導入
次に、AIが人間に代わって働くことによってベーシックインカムが導入される可能性がある点です。
ベーシックインカムとは、すべての国民に一定の所得の支給をする制度のことです。
世界中を見ても、ブラジルが唯一導入しており、まだまだ制度が進んでいない状況ですが、今後AIが人間の仕事を行うことによってベーシックインカムが導入されるのではないかと言われています。
人間が仕事をしなくなることによるライフスタイルの変化への対応や、職を失うことによる貧困問題などの解決のメリットが挙げられます。
導入することによる財源など様々な懸念はありますが、今後はそのような取り組みも考えられるでしょう。
③人体の一部を人工物で代替する
人間を超えた働きをすることによって、人間の身体の一部をAIで代用できる点です。
現在は、ドナー登録などで治療を行っている病気も人工臓器で治療が可能になると話題になっています。
2020年には、Twitter(現:X)を買収したイーロン・マスクが豚の脳にチップを埋め込みコンピューターと連動させる技術を発表しました。
このような神経の動きを利用して、将来的に認知症や脊髄損傷といった症状の治療に役立つのではないかという仮説も立てられています。
既に、AIを活用した義手や義足が導入されており、今後もAIを使った医療が注目されます。
シンギュラリティによる懸念点
シンギュラリティによる懸念点は、人間の仕事が失われる可能性があるだけではありません。
AIがシンギュラリティに到達した場合、人間がAIを扱えなくなり、やがてAIが人間を乗っ取ってしまうのではないかという懸念をしている声もあります。
人間の仕事が減ってAIが増えれば増えるほど、万が一人間の想像を超えた動きをした場合にどのような対応をしたら良いのかも課題の一つでしょう。
人工知能の動作への危険性について
人工知能を医療や介護などに活かす取り組みが進んでいる一方で、シンギュラリティに到達した場合、体内で人工知能の動作が予測できない動きをしてしまう可能性も捨て切れません。
生活の負担を減らす便利な取り組みの一方で、悪い方向に人間の想像の範疇を超えた進化をしてしまうと、危険な動作や暴走をしてしまい人間では制御できなくなってしまうでしょう。
とくに、人間の身体と連動させる場合、より人工知能の動作には慎重になることが大切です。
シンギュラリティとAIが発展するまで
現在でこそシンギュラリティが問題視されるまでAIが発展してきましたが、AIが進化するまでには長い歴史があります。
2045年問題が提唱されるまでに発展したAIの歴史を見ていきましょう。
【1950年代~1960年代】第1次AIブーム
実は、AIという言葉自体は1950年には誕生しており、人工知能の存在も知られていました。
もちろん、今のような高度なAIを開発しているわけではありません。
「AI・人工知能は実現できるのではないか」という考えのもとで、人間の思考を真似たAIを研究していきました。
例えば、目的地に早く到達するためには、AのルートかBのルートどちらが早いかなどの分類を繰り返してコンピューターの精度を高めていきます。
このような技術を進化させることによって、人間では判断に時間がかかるパターン分けの作業もAIによってスピーディーに行われていきます。
あらかじめ決められたルールの中で答えを出すため、今のように人間の質問や要望に対応できるわけではありませんが、AIの技術が使われた一歩といえます。
【1980年代】第2次AIブーム
次に、コンピュータを使った仕事が導入されつつある1980年代に第2次AIブームが訪れました。
この第2次AIブームでは、コンピューターに知識を入れる研究が進められました。
各企業の専門分野の知識をコンピューターのプログラムに組み込むことで、利用者は専門分野の知識を簡単に得ることができます。
専門分野の知識を組み込んだプログラムは、エキスパートシステムと呼ばれ、専門家のように事象の推論や判断ができるようになりました。
第1次AIブームで実現された「決められたルールの中で答えを出す」という作業よりも、より進化した作業が行えるようになりました。
【現代】第3次AIブーム
現代は、機械学習をきっかけに第3次AIブームとなっています。
AI自らが学習をしていき、データや結果に基づいた上での予測を行っていくことが可能になりました。
さらに、機械学習に加えてコンピューターがデータを自動的に解析して回答を抽出できるディープラーニングも実用化されました。
人間がある程度AIに学習させたあとは、自動的に学習を繰り返して制度を高めていけるようになったことは、大きな進歩といえるでしょう。
シンギュラリティが起きたときの対応は?
もし、シンギュラリティが起きたときのために、今のうちから人間が予測できない動きをした場合の対策を考えておく必要があります。
例えば、もしAIが暴走した場合に緊急停止できるシステムやシステム異常を感知するシステムなどを搭載するなどが挙げられます。
また、便利だからといってAIに全て任せるのではなく、人間の監視のもとでAIを動かすのも重要なポイントです。
シンギュラリティが起きたとしても、最終的に人間の判断が必要であることを覚えておきましょう。
スキルを身につけておくことが大切
シンギュラリティは、約20年後と言われていますが、今のうちからAIの仕組みについて学習したりスキルを身に付けておくことが大切です。
人間の仕事がAIに取られるという懸念はありますが、全ての仕事がAIに取られるわけではありません。AIができない仕事はもちろん、AIを監視したり学習させる仕事など新たに生まれる仕事もあるでしょう。
将来的に職を失わないためにも、ぜひ以下の記事をご参考ください。
AIと人間が共存できるよう準備しておこう
2023年時点、AIは人間の生活において欠かせないものとなりつつあります。
今後も、人々の生活をよくするためにAIはますます進化を遂げるでしょう。
AIがどういったものかよく分からないという方は、まずはどのようにAIと人間が関わっていけるのかを知る必要があります。
ぜひ、今のうちからAIと人間が共存できるよう準備しておきましょう。