ここ数年でAIの技術が更に発展したしたこともあり、一部では「AIに仕事を奪われてしまい人間が働けなくなる」という懸念がされていました。
しかし、AIの導入が増えている2023年現在でも「人間がAIに仕事を奪われた」という話はあまり耳にしないかもしれません。
将来AIに仕事を奪われるのは嘘だったのか、それとも着々と人件費のコストカットが進んでいるのか不安な方も少なくないでしょう。
この記事では、将来AIに仕事を奪われるのは嘘か本当かを解説いたします。
AIの導入化が進んだ現在は?
そもそも、なぜAIによって仕事が奪われるとの風潮が広まったのでしょうか。
その理由は、2015年12月に野村総研とオックスフォード大学の共同研究で「AIの導入によって日本の労働人口の49%の仕事が10-20年以内になくなる」というレポートが発表されたことが発端となっています。
もしこの話が本当であれば、2025年には人間の半分の仕事がなくなっていくということになりますね。
ここ3年くらいでAIが急速に進化をしたことを考えると、2025年にはよりAIを導入する企業が増えるのは当然の流れと言って良いでしょう。
しかし、総務省の調査によると2021年の日本企業のAI活用率は24.3%とまだまだ低い数字と言えます。
AIの導入が進んでいるとはいえ、49%の仕事を脅かすほどにはAIを導入し切れていないことが分かります。
2030年までに27%の既存業務が自動化されると予想されている
更に、マッキンゼーの調査では「2030年までに既存業務のうち27%が自動化される」との発表もありました。
27%と聞くと低い数字のように感じますが、1660万人の雇用が代替されるとなると決して対岸の火事ではないと言えるでしょう。
現に、今でも飲食店や工場、更には介護や医療現場までもがAIを導入しており既存業務をAIが行っているシーンもよく見受けられます。
そのため、2030年までに27%の既存業務が自動化されるというのは現実的ではないでしょうか。
なぜAIに仕事が奪われると言われているのか
AIは人工知能と呼ばれることもあることから、優秀で人間を上回る存在になるのでは多くの方が脅威に感じているかと思います。
しかし、どのようにAIが優秀なのかはイマイチよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
では具体的に、なぜAIに仕事が奪われると言われているのかを見ていきましょう。
①大量のデータ処理に長けている
1つ目は、AIは大量のデータ処理に長けているからです。
ネット社会である現在、SNSや検索エンジン、音声や画像や動画など様々な情報がネット上に蓄積されています。
こういったビッグデータをまとめて、知りたい情報を抽出するのは人間の手では膨大な作業量となります。
しかし、AIを使うことによって、効率良く整理し分析することができるようになります。
例えば、SNSやレビューサイトからヒントを得て商品開発をする場合でも、AIを使って分析データをまとめることですぐにユーザーの声を知ることができます。
また、スーパーや飲食店でも毎日の売上をまとめることで、必要な分の仕入れの目安が分かるようになるのでフードロスを防ぐこともできます。
このように、人間の手では追い付けないデータ処理ができるのはAIの強みと言えます。
②規則的な作業が得意である
2つ目は、規則的な作業が得意なことです。
工業での部品や洋服の検品など、従来は人間が行っていた作業です。
しかし、毎日何時間も立って検品を行うとなると、当然集中力が切れてしまったり疲れが見えてくるようになります。
こういった人間の活動状況によってパフォーマンスが低下してしまう仕事でも、AIであれば効率よく同じ速度で作業を続けることが可能です。
AIに学習させてしまえば、毎日の単純作業をAIに任せることができます。
③24時間稼働することができる
3つ目は、24時間稼働することができる点です。
人間の場合、当然ですが24時間稼働することはできません。最近では働き方改革が進み、原則8時間程度の労働が推進されています。
しかし、AIはこういった労働時間に左右されることなく働くことができるのがメリットと言えます。
特に、夜勤などの交代制で24時間稼働している工業や運送会社などは、24時間稼働できるAIが重宝されるでしょう。
AIに仕事を奪われるは嘘?
人間の代わりとなって働いてくれるAIですが、AIを導入したからといって仕事を奪われるかと言えば嘘になります。
現に、セルフレジを導入している洋服屋やスーパー、AIロボットで商品を運んでいる飲食店が無人になることは有り得ません。
その店舗で働く人間の仕事は、レジを打つだけや食べ物を運ぶだけではありません。そのため、AIを導入していても他の仕事をする必要があります。
そのため、AIによって別の仕事にリソースを割けることから「AIに仕事を奪われる」と言われているのは嘘と言えます。
ここからは、もっと具体的にAIに仕事を奪われるのは嘘と言える根拠を解説していきます。
①新たに仕事が生まれる可能性がある
AIは、導入して終わりではなく、不具合が起きていないかメンテナンスを行ったり新たに学習させる必要があります。
そのため、AIを管理する仕事など、AIを導入したことによって新たに仕事が生まれます。
AIによって差し代わったポジションがあったとしても、AIのパフォーマンスを維持する必要があるためAIによって一切仕事がなくなるということは考えにくいでしょう。
②少子化で人手不足になる
近年、高齢化が進んでいる中で少子化が深刻化しています。
このまま進むと新卒で就職する人が減ってしまい、大きな人手不足に陥ることが予測されます。
現状でも介護や飲食店、サービス業などの人手不足が問題となっている状況です。このまま深刻化してしまうと更に人材が減ってしまうことが予測されます。
また、人手不足だったとしても、コストの面ですぐにAIを導入することは難しいと言えるでしょう。
そのため、AIが進化したとしても人の手がいらなくなるということは考えにくいです。
③全てを自動化することはできない
AIを導入したからと言って、全ての業務をAIに任せきりということはありません。
セルフレジを導入したとしても、読み取れない場合やバーコードがない商品などは人間の手で対応する必要があります。
また、アルコールやタバコを購入する場合はAIではなく店員が年齢確認をするといった作業も発生します。
飲食店を例に挙げると、AIロボットが食べ物を運ぶことはできたとしても食べ物をロボットに乗せたり運んで欲しいテーブルに運ぶよう設定するのは人間です。
全てAIで完結することはできないため、仕事そのものがなくなることはありません。
④AIができない仕事の分野もある
既存の作品をベースに創作するのはAIでも可能ですが、1から作品を作るのはまだまだ難しいと言われています。
例えば、完全にオリジナルでキャラクターを作成したくても、指が6本だったり逆に足りなかったりと指の描写を苦手としています。
これは「指=5本」という概念をAIが持っていない可能性や、複雑な動きや重なりをすることから上手く算出できない可能性が考えられます。
映画や漫画のシナリオを書かせても、
このように、クリエイティブな仕事は人間を上回ることができないことから、AIができない仕事の分野と言えるでしょう。
AIに全ての仕事を奪われるのは嘘!
結論、AIに全ての仕事を奪われるというのは、現状だと嘘だと言えるでしょう。
現状の仕事の半分がなくなったとしても、また新たな仕事が生まれるのは間違いありません。
AIの導入が進むにつれて、AIが知能を持ちすぎて人間を上回る危険性や管理を慎重に行う必要も出てきます。
また、最終的な判断は人間が行う必要があるため、AIに全てを任せることは考えにくいと言えるでしょう。
AI時代でもなくならない可能性がある仕事
AI時代でもなくならない可能性がある仕事は以下の通りです。
- アーティストやデザイナー業
- 教育や保育、看護師
- スポーツ選手やコーチ、アスリート
- 弁護士、裁判官、判事
- 研究者や発明家、発掘家
- 医師や理学療法士など
- 政治家や官僚、市民活動家
人間関係に関わる業種や法律に関する業種、知識や技術を必要とする業種などはなくならない可能性が高いです。
また、社会的な責任を負う業種もAIに任せることができないので、なくならないと言えます。
AIに仕事を奪われないためのスキル
AIの導入によって仕事を失ってしまうことを不安に感じている人は、仕事を失わないために次のようなスキルを身につけるべきです。
- AIを活用するための知識
- コミュニケーションスキル
- 柔軟な発想力
AIに仕事を奪われるのではなく、AIを上手く活用するための知識を身につければ、AIを管理するポジションに就ける可能性があります。
まずは、AIに関する知識を身につけ、何が得意で何ができないのかを理解しましょう。
AIの得意不得意が分かれば、今回紹介したスキルだけではなくAIに仕事を奪われないためのスキルが明確になることでしょう。
自分が取り組みたいことと照らし合わせながらスキルを身に付けることが大切です。
今後はAIと人間の共存が重要視される
将来AIに仕事を奪われるのは嘘かどうかを解説いたしました。
結論、すぐに仕事を奪われるというのは嘘と言って良いでしょう。
しかし、AIは進化を続け、一部の分野では既に人間のパフォーマンスを大きく上回る働きが可能になっています。
今後は、AIの得意な分野と人間が得意な分野を分担して共存していくことがより重要視されるでしょう。