以前はAIと聞くとなんだか難しそうで、自分にはあまり縁がないと思っていた方も多いと思います。
最近では、人間と会話しているかのように利用できるChatGPTや、画像を組み合わせてイラストができるMyEditなどが話題となっており、近年では当たり前のようにAIを使いこなす時代が来ています。
AIは今も進化を続けており、ざっくりと質問したとしても精度の高い回答が返ってくることから「AIにできないことなんてないのでは」と思うかもしれません。
しかし、まだまだ人間にしかできないことも多くあります。
もし「将来AIに仕事を奪われるのでは」と気になっている方はぜひ強みになるポイントがあるのでぜひご参考ください。
そもそもAI(人工知能)とは?
そもそもAIとはどういうものなのかおさらいしていきましょう。
AIは人工知能とも呼ばれ、まるで人間が考えているかのような働きや動作をするのが特徴です。
例えば、最近では人間に代わって単純作業をしたり、カスタマーサービスのような役割をすることもあります。
身近な例では、ファミレスなどでロボットが商品を運んでいる姿を見たことがあるかもしれませんが、こちらもAIを利用した人手不足解消の取り組みになります。
また、学習能力に長けているAIも増えており、その筆頭となっているのがChatGPTです。
ChatGPTは、検索エンジンや人間の質問を学習して回答を出しており、利用すればするほど精度が上がる仕組みになっています。
このように、知能により優れているAIも登場しており、今後更に進化が注目されるでしょう。
AIの2つの学習方法
AIは、機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の2つの学習方法があります。
それぞれ特徴が異なり、得意としている働きがあるため使い分ける必要があります。
ここからは、AIはどのように学習をしていくのかを見ていきましょう。
機械学習(マシンラーニング)
機械学習(マシンラーニング)は、教師あり学習と言い、人間がAIに対して指示を与え、その指示通りに学習していく仕組みです。
例えば、顔認証や商品の選別など、違いを学習させることなどが挙げられます。
スマホの顔認証システムや、洋服屋やパン屋などの自動で計算してくれるレジなどは、この学習方法を使っています。
深層学習(ディープラーニング)
深層学習(ディープラーニング)は、教師なし学習と言い、AIが人間が行うタスクを学習して進化させていく仕組みです。
例えば、自動運転や音声認識などが挙げられます。ただし、使っていくうちに自然と進化するわけではありません。
使っているうちに自然と進化するのは、教師なし学習の中に含まれる、強化学習と言われる手法です。
機械学習の中に深層学習が含まれていて、さらに別に機械学習の中に教師なし学習と教師あり学習が含まれています。
教師なし学習では、強化学習やクラスタリングなどの手法が含まれています。
スマホの画像フォルダで、特定の人物だけピックアップして振り分ける機能や検索をしたキーワードに特化した写真を探すことができるのも、この深層学習を使っています。
AIにできること
様々な場面で活躍の場が広がっているAIですが、具体的にはAIでどういったことができるのでしょうか。
ここからは、AIにできることを紹介していきます。
①大量のデータ処理
1つ目は、大量のデータ処理です。
大量のデータを間違うことなく同じ速度で処理を続けることができるのは、AIの強みと言って良いでしょう。
例えば、たくさんの顧客のデータから性別や年齢ごとに洗い出したり、ECサイトで今月靴を買った顧客だけを洗い出すといった作業も簡単にできます。
人間がリストを見てデータをまとめる時間と比較して、速度は圧倒的にAIが上になります。
こういった、大量のデータを扱うことができるのはAIの強みだと言えるでしょう。
②規則的な作業
2つ目は、規則的な作業です。
例えば、加工食品に異物混入していないかの検品や、工場で部品を加工する作業などが挙げられます。
単純作業を繰り返す仕事は、人間では集中力や活動時間に限界があります。
しかし、AIであればその作業を学習してしまえば、ミスする可能性を極限まで減らした状態で24時間稼働することができます。
そのため、最近では単純作業をAIに任せる企業も増えてきています。
③検知・予測
3つ目は、検知・予測です。
今までは、商品の仕入れや今後の作業見込みなど、未来のことは人間が経験論で予想することがほとんどでした。
また、人間は不測のトラブルは予想することができないため、不良品や不具合が起こってから対応しなければいけません。
しかし、今までのデータをAIに学習させることで、スーパーの仕入れ予測や不具合を検知するなど、未来に起こるであろうトラブルを予測することができます。
機械トラブルをすぐに検知してすぐに対応したり、センサーで品質管理をしたりと、人間の目では届かない範囲をカバーしてくれるのがAIの強みでしょう。
④音声や画像の認識
4つ目は、音声や画像の認識です。
音や映像は、人間が実際に見て認識することもできますが、AIに学習させることによってより正確で速度も速いでしょう。
例えば、画像の中に写っている人の顔や文字などを特定したり判別するのは、AIの方が遥かに速いと言えます。
また、音声を文字に変換する場合もAIが得意です。
人間が発した言葉や会話をAIが解析し、テキストデータへ変換して出力する音声認識システムを利用すれば、人間が音声を聞いて文字打ちするよりも速いと言えます。
人間にしかできないこと
ここまでAIが進化していると「人間がいなくても全て完結できる」と思うかもしれません。
しかし、人間にしかできないこともまだまだあり、AIだけでカバーするのは難しく、人間の手で作業しなければいけない部分も少なくありません。
ここからは、人間にしかできないことをご紹介します。
①ノイズの多いデータの処理
AIは、データを読み取ったり分析することは得意ですが、AIが読み取れる範囲のデータを使わなければ正確な回答を出すことはできません。
ノイズの多いデータなどは、AIが正確に処理することができないため、人間が手作業でチェックして処理を行う必要があります。
ノイズなど、学習データには存在しないものを正確に読み取って処理するのはまだ苦手と言えます。
②クリエイティブな作業
最近では、新たな文章やイラストを生成することができるAIが増えています。
しかし、あくまで既存の文章やイラストを元に作っているため、1から作品を作るのは難しいと言えます。
2023年には、AIを使って手塚治虫の作品であるブラックジャックの新作を発表したことが話題になっていますが、この取り組みはAIが手塚治虫の作品を学習して作ったものになります。
AIはシナリオを作ったりや画像生成は可能ですが、実際に物語が面白いかどうかや学習させた画像のようなものができているかは人間が実際にチェックしなければいけません。
また、画像生成においても完璧なものができるとはまだまだ言えず、指が6本になったり耳の形が歪んでいたりと細かい作業は苦手と言えます。
AIは人間の手助けになることはできますが、AIだけでクリエイティブな作業を完結するのはまだ難しいでしょう。
③人の気持ちを汲み取る
AIは人間の声や表情から感情を読み取ることが可能になってきています。しかし、人間の気持ちを汲み取ってアクションを起こすのは苦手と言えるでしょう。
例えば、大切なペットが病気になってしまったとします。AIは泣いていたり心配している表情を読み取ることはできますが、表情に適した言葉を掛けることはまだ難しいです。
もちろん「人が泣いている時はこの言動」などの学習も可能ですが「泣いている」とひとくちに言っても人間は様々な事象で泣きますよね。
悲しんでいたり、感動していたり、腹が立って感情が昂って泣いてしまう場合もあります。
人間は状況を読み取って適切な判断をすることができますが、AIにとってはこの違いを識別するのは難しいと言えます。
④過去の事例がない新しい取り組み
AIは、過去のデータを学習させて未来の予測をすることが可能です。
しかし、過去の事例がない取り組みを予測するのはできません。
新しい取り組みをする場合はデータがなく、AIでは予測しきれないため正確な回答をすることができず答えを出せません。
過去の成功事例をデータとしてまとめたり、成功率を上げるためにマーケティング調査を行う点ではAIが活躍しますが、新しい取り組みは人間の発想力やクリエイティブ能力なども重要になってきます。
そのため、1から何かを生み出すのは、まだ人間が長けていると言えます。
AIができることの範囲は日々広がっている
AIはここ3年ほどで急激に発展したこともあり、AIができることの範囲は日々広がっています。
最近では、中学高校でもAIの生成ツールが導入されたり、AIを使った英会話アプリの発表などがあり、ますますAIが身近なものになっています。
しかし、AIが導入されたからと言って、学生が自分で学習方法を考えなくて良くなったわけでも英会話の先生が不要になったわけでもありません。
AIはあくまで人間のサポートをする役割であり、AIに丸投げできるまでにはまだまだ至りません。
今後は、AIと人間の共存がテーマとなり、お互いがカバーし合う世の中になることが予測されます。
人間の作業効率化の手助けになるケースが増えている
「AIに仕事が奪われるのではないか」という問題も一時はありましたが、AIの導入によって人間がやりたがらない仕事や人間ではカバーできない範囲の稼働ができることから便利になるケースが多いと言えます。
身近な例だと、コンビニなどのレジでは、電子マネーの利用客はセルフレジに誘導して現金は人間がレジを担当するなど役割分担をすることで作業を軽減することができています。
その分、利用客を待たせることがないためクレームが減ったり、レジを任せることで別の作業をすることができるようになります。
このように、現状は作業効率化の手助けになっているケースが多いでしょう。
コミュニケーションはAIにできないは本当?
今までは、AIと聞くと完全に作業ロボットのようなイメージを持っていた方も多いかと思います。
しかし、最近ではAIのコミュニケーション能力が進化しており、人間と会話が成り立つAIも増えています。
身近な例だと、文章を学習して回答するChatGPT、音声認識に長けているSiriといったAIが挙げられます。
また、AIのキャラクターと会話を楽しんだり通話を楽しんだりできるスマホアプリや、高齢者との会話や介護用にコミュニケーション用ロボットも登場しています。
このように、コミュニケーションに特化したロボットも登場していることから「コミュニケーションはAIにはできない」という時代ではなくなっていると言えるでしょう。
医療現場でもAIの導入が増えている
AIは、手術などの医療現場でも導入されることが増えてきています。
内視鏡手術ロボット「ダビンチ」が話題になったことを知っている方もいるかと思いますが、手術のサポートにもAIが使われるようになりました。
手術器具を取り付けたロボットアームと内視鏡を患者に挿入し、医師が操作ボックスの中で内視鏡画像を見ながらロボットを操作していきます。
「医者がロボットを操縦するなんて」と思うかもしれませんが、人間の関節ではできない動きができることから効率が上がりスムーズなオペが可能になっています。
また、肉眼の10〜15倍のカメラ機能が搭載されていることから、肉眼よりもしっかりと患部をチェックすることもできます。
当然、不測の事態に陥った場合はすぐに人間が対応しなければいけないため、経験豊富な医者が必要です。
しかし、AIによって医療を更に発達させることが可能なのは間違いないでしょう。
人間にしかできないことを把握してAIへの理解を深めよう
この記事では、AIにできることと人間にしかできないことを解説いたしました。
近年、AIにできることの範囲は広がっていますが、人間のサポートなしではAIが完璧な作業をできるとはまだまだ言い切れません。
仕事そのものがAIに奪われる奪われないではなく、仕事の中の作業で上手く共存していくのが将来的にどの企業も当たり前になると予想されます。
人間にしかできないことは人間が行い、AIが得意なことを任せる分担作業のような取り組みが今後重要になっていくでしょう。